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相談事例

フィリピン人留学生・アンさん(仮名、30代)

 今回、私たちのところに相談に来たあるフィリピン人留学生が、通っていた日本語学校に対して訴訟を提起しました。この訴訟では、アンさん(仮名、30歳代)が、通っていた日本語学校からいわば「強制退学」そして「強制帰国」させられそうになったことに対する責任を追及しています。

 アンさんは、昨年(2018年)4月フィリピンから来日し、東京・高田馬場にある日本語学校で日本語を勉強しながら、神奈川県のある老人ホームでアルバイトとして介護の仕事を行っていました。

 来日前、アンさんはフィリピンの送り出し機関から、日本に行けば勉強しながら介護のアルバイトで生計を立てられるとの説明を受けていました。フィリピンで介護士と看護助手の資格を持っていたアンさんは、この介護施設の採用面接を受けて見事合格し、そこで紹介された日本語学校に通うことを決めました。自身と3歳になる息子さんの生活を良くするという「夢」を抱いて来日しましたが、その夢はすぐに打ち砕かれてしまいました。
 

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 アンさんは来日前に、「日本に行けば稼げる」「寮はホテルのよう」、そしてさらにその家賃と食費は無料との説明を受けていました。また、学校の授業で使うパソコンは無償貸与されると約束されていました。しかし、実際には、1LDKに最大5人一緒に泊まらなければいけなかった寮の家賃は月3万5000円かかり、かつ食事は自己負担でした。そのうえ、給料が支払われない「ボランティア」を、1カ月当たり30時間ほど強制させられました。

 さらに、入社時に会社から30万円を強制的に貸し付けられ、その全額が本人の手に渡ることなく日本語学校の学費に充てられました。アンさんは話が違うと抗議しましたが、日本に来て間もないため相談先もわからず、またすでに来日のために何十万円も支払っていたため拒否してフィリピンに戻る選択肢はなく、契約書にサインせざるを得ませんでした。

 アンさんは夜勤シフトにも何回も入り、利用者のために一生懸命働き続けましたが、賃金が支払われない「ボランティア」などはどう考えてもおかしいと会社に伝えたところ、会社は今年1月、アンさんを日本語学校の会議室に呼び出しました。社長はその場で会社を辞めるよう促した後、日本語学校職員と一緒になって、アンさんを成田空港に連れていき当日夕方の便でマニラに帰国させようとしました。アンさんは職員が目を離したすきを見て逃げ出し、駅をさまよっていたところPOSSEと繋がりました。

 アンさんは、日本語学校から受けた偽の労働条件に対する責任、そして本人の意に反して強制的に帰国させようとした行為に対する謝罪と補償を求めて、2019年6月26日、東京地裁に提訴しました。

 

今回の訴訟で、アンさんは以下のことを求めています。

① 嘘の情報で日本に連れてきたことの責任

②「 強制退学」・「強制帰国」に対する補償

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