「技能実習制度廃止プロジェクト」とは、外国人技能実習制度の廃止を目指して集まった若者による運動です。技能実習生は、多額の借金を抱えて来日し、転職が禁止されている技能実習制度の下で、過酷な労働環境であっても逃げられない状況に置かれています。そのため、国際的には技能実習制度は「現代的奴隷制度」と批判されています。こうした奴隷労働を可能にしている技能実習制度はいますぐ廃止し、実習生が労働者としての権利を行使できる新たな枠組みをつくる必要があります。

 

 このプロジェクトでは、技能実習生の労働相談に取り組みながら、現場から具体的に見えてきた技能実習制度の実態を広く発信して、技能実習制度の廃止へとつなげていきます。

 

なぜ技能実習制度の廃止が必要なのか

■「現代的奴隷制度」の実態
日本では、現在およそ40万人もの技能実習生が働いていますが、その職場ではあらゆる違法行為がまかり通っています。以下では、私たちの相談窓口に寄せられた相談例から技能実習制度の問題を具体的に見ていきます。
 

(1)転職の原則禁止 

 

相談例:岐阜県のいちご農家で働いていたAさん
Aさんは職場の上司から「一緒に寝よう」などと深刻なセクハラを受けていたため、監理団体に問題の解決を求めたが我慢するように言われて終わった。転職の要求にも応じてもらえず、Aさんは「失踪」することを決意した。。

技能実習制度では、実習生は原則として転職を認められていません。職場で違法行為が起きた場合には、例外的に転職が認められることになっていますが、そもそも違法行為を立証することは非常に困難なうえ、立証できたとしても監理団体が転職の要望に応じないことが大半です。そのため、実習生は職場の違法行為を我慢して働くか、職場から逃げて「失踪」するかという究極の選択を迫られています。

(2)多額の借金、監理団体や送り出し機関の介入(強制帰国)

相談例:岐阜県でビル清掃の仕事をしていたBさん
Bさんはホテルの清掃をしていたが、コロナの影響で観光客が激減したことで仕事が移動になった。新しい職場はコロナ感染者が利用した部屋を清掃する仕事で、Bさん自身は勤務開始2週間ほどでコロナに感染。身の危険を感じ、元の職場に戻りたいと監理団体に伝えたが、「今の職場が嫌なら、母国に戻るか、無給で元の職場で働くしかない」と言われた。借金があるため、途中で帰国するわけにもいかず、仕方なく今の仕事場にとどまることにしたが、納得がいかず労働組合に相談をした。

 制度上、技能実習生は来日前に送り出し機関に登録し一定期間研修を受ける必要があり、その手数料を払うためほとんどの技能実習生は多額の借金を負わされて日本に来ています。その額は数年分の年収にも及びます。この多額の借金は、実習生に対して脅しの材料として使われています。実際、職場の権利侵害に対し声を上げようとすると「強制帰国させるぞ」「借金を一括で返してもらう」と脅されて何もできなかったという相談はたくさんあります。
 このように、借金を負わせ、転職を禁止する技能実習制度そのものが実習生から声を奪い、労働法上の権利行使を困難にしている実態があります。労働者がなかなか権利行使できないという問題は、日本の非正規労働者にも共通する問題ですが、技能実習生の場合はその困難がより増幅した形で現れています。前借金や転職の制限によって過酷な労働環境であっても、辞めることも声を上げることも困難にさせている技能実習制度はまさしく「現代的奴隷制度」です。こうした制度を一刻も早く廃止するとともに、ブローカーの排除(不当な手数料の請求の排除)と転職の自由を保障した新たな枠組みが必要です。
 

廃止に向けた取り組み

■闘争の現場から社会を変えていく
 これまで私たちは、最前線で労働相談を受け、実習生と一緒に、企業や監理団体による権利侵害や差別と闘ってきました。ある実習生のケースでは、セクハラ・パワハラに加担していた監理団体の事務所の前で、1ヶ月間にわたって大学生ボランティアがマイクを握り抗議行動を行いました。その結果、監理団体の運営資格が取り消され、受け入れ企業も賃金不払いで書類送検されることになりました。また、技能実習生自身もストライキを行使したり、抗議行動に参加し会社や監理団体に対し声を上げてきました。
 私たちは、こうした現場での実践活動を通じて、政治家や専門家ではなく私たち自身が社会を変える主体であること、そして、闘争の現場で一つの目標に向かって当事者や支援者が結集する地点にこそ、社会を変える力が存在するということを実感してきました。そのような現場での闘争を基盤にした運動を広げていくことが、技能実習制度の廃止を実現する大きな力になるはずです。

■アウトリーチ活動から運動を広げる
 職場で問題を抱えていたり、理不尽な現状を変えたいという思いを持った実習生は多くいますが、ただ待っているだけでは相談に繋がることはできません。そこで私たちは実習生が多く働く工業地帯や地域の食材店などでアウトリーチを行います。相談現場では、職場で起きている問題の違法性・不当性を明らかにしながら実習生をエンパワーメントし、実習生と一緒に会社や監理団体によるあらゆる差別・権利侵害と闘っていきます。その闘いの中から見えてくる具体的な実態をSNSでの宣伝やデモ行進など、様々な方法を介して広く発信していきます。こうして、声を上げる仲間を増やし、廃止に向けた大きなうねりを作っていきます。

システムそのものの変革を目指して

 私たちの生活を支えるあらゆる商品・サービスのサプライチェーンを辿ると、日本で働く技能実習生の労働だけでなく、グローバル・サウスで低賃金・低処遇で働く労働者の姿も見えてきます。地域の工場で働く労働者から地球の裏側で働く労働者まで、誰かが過酷な労働環境の犠牲になり、その連なりの結果として今の社会が成り立っているのです。こうした搾取の上に、日本社会に生きる私たちの「豊かさ」があるといえます。その現実を前に傍観者となるか、一緒に理不尽な社会に対しNOを突きつけ、オルタナティブを構想するのか、一人一人の決断と行動が、これからの社会の方向性を左右します。
 技能実習制度廃止プロジェクトでは私たちと一緒に声を上げ、行動を起こす仲間を募集中です。アウトリーチ活動・労働相談・SNS発信・通訳・翻訳や映像制作など、プロジェクトメンバーとして自分の力を活かす方法はたくさんあります。私たちと一緒に、搾取の上に成り立つシステムそのものを根本から変え、オルタナティブな社会を目指しましょう。皆さんのご連絡をお待ちしています。

 

ボランティア希望者連絡先:volunteer@npoposse.jp(担当:田所)
※ご連絡時に、参加の動機や所属をメールにお書きください